全部、抱きしめて
嫌なもんは嫌です
翌朝。目を覚ますと、大瀬良さんがスーツに着替えている姿が目に留まった。
あぁ。そっか昨日、あの後、大瀬良さんはあたしんちに来ると言い出して、そのまま泊まっていくことにしたんだった。
「悪い、起こしたな」
「いいえ。どうせあたしも起きる時間ですから」
枕元の時計は午前6時20分を表示している。
あたしがいつも起きる時間は、6時半くらいだから10分早いだけだ。
大瀬良さんは、この後、いったん家に戻るから早起きしないといけない。
言わば朝帰りというやつだ。
実はこの光景、今日が初めてではない。
関係が始まったあの日以来、金、土とあたしが大瀬良さんの家に泊まり、日曜日の夜はあたしの家に大瀬良さんが泊まっていく。
そして、月曜日の朝帰っていくというのが定番だ。