君 が い な い 日 。



病院に着くと、君のお母さんに連れられ君が居る部屋に行く。



ベッドに寝ている君の顔には、白い布が被せられていた。


壁も床も白いから、彼女が居ない様に思えてしまう。



白い布を取って頬に触れると、冬の所為なのか、とても冷たかった。


改めて死んだんだと思い知らされた。




「おーい、聞こえる?僕だよ、僕。」


ベッドの隣の椅子に腰掛け、聞こえているかも分からない君に話しかける。



「僕、ずっと待ってんだよ。早く来てよ。映画…もう始まっちゃったよ……。」


段々と震える声。


震える指で君の頬を撫でる。



「明日こそは見に行こう…。待ってるから、早く来てな。んでさ、映画見て、買い物とかして、帰ろってなったらさ…、俺……。」


君の首に手を回し、ネックレスを付けた。





「そしたらさ……結婚しよう。」



もう二度とすることはないだろう。


最初で最後の、プロポーズ。





「ずっと……ずーーっと、一緒にいようなっ…。」



涙で顔がぐしゃぐしゃな僕。




それなのに君は何を言っても、涙一つ流さない。



笑顔一つ、零さない……。





人形の様に、表情が一つも変わらなかった。



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