恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
恐る恐る岩の陰から覗いてみると、引き戸の向こうからも、晶の綺麗すぎる顔が覗いている。
「…あ、入ってたのか…」
晶が真琴の顔に気が付いて、そうつぶやいた瞬間、真琴の息が止まる。
思わず、浴槽から飛び出してしまいそうになったが、そうするわけにもいかず、真琴は岩陰で体を硬くした。
「…あ、あの!…すみません。先に…お、お風呂に入らせてもらって…」
歯の根が合わず、震えてくるのが真琴の声にも表れている。
「いや、いいよ。どうせだから、一緒に入ろうか」
晶はあくまでもサラッと、物凄いことを言ってのけた。
「……は?!」
真琴は頭の中が真っ白になってしまう。
一緒に入るということは、晶も裸になって、この湯船に一緒に浸かるということだ。
いくら古庄の兄だとはいえ、そんなことできるはずがない。裸の自分を見せていいのは、古庄だけに決まっている。
「あっ、あの!私っ、すぐに出ますから、少し待っててもらえますか?」
「大丈夫。気にしなくてもいいよ」
晶はあまり気にならないらしく、真琴の言っていることの意図を汲んでくれない。
もうすでに、脱衣所で作業着を脱いでいるらしい気配が、真琴の耳に届いてくる。
真琴は、まじめに焦ってしまった。早くどうにかしないと、本当に晶は裸でここに入ってくる…!
失礼かとは思ったが、これははっきりと言わなければ晶には通じないと思い、勇気を振り絞った。
「すみません!私、やっぱり、和彦さん以外の男の人と一緒には入れません!!」