恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
すると、晶は可笑しそうに笑った。
「ははあ、高校生の頃の和彦は著しく変貌したからな。分からないのも無理はない」
と、ラグビージャージを着た数人が肩を組んでいる写真の一人を指差した。
――……ウソ、これが?!……クマみたい……!!
真琴は思わず言葉をなくし、写真を凝視する。
真っ黒に日焼けして、土で汚れた顔をよく見ると確かに古庄だが、圧倒されてしまうようなオーラはない。それに、体つきが今と全然違う。
「ラグビーをしているヤツで、バックスにはスリムなヤツもいるけど、和彦はフォワードだったから、とにかく食べて鍛えて体を大きくしたんだ。この頃は体重が110kgくらいあったと思う。…色も黒くて、本当にクマみたいだな」
真琴の心を読んでいるかのように、晶もそう言って、朗らかに笑った。
110kgと聞いて、真琴は息を呑む。
まさか、こんなに巨漢だったなんて…。本当に高校生の写真なのだろうかと、疑いたくなるほどだ。
教えてもらったら、他の写真の中にいる古庄も見つけられた。
フォワードと言うだけあって、前線でボールを奪い合うシーンが多い。ボールを持って走る様も、まるで猛牛の突進だ。
高校生の頃の古庄は、真琴の想像していた爽やかなラガーマンとは、かけ離れ過ぎていた。
「和彦が今みたいな感じになったのは、大学生になって、ラグビーをやめて筋肉が落ちて、痩せてからだよ。服装なんかも、私が少しレクチャーしてやったら見違えるようになったね」