恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
真琴が危ない?
夕刻になり、真琴のアパートに帰り着いた古庄は、ホッと息を吐きながら玄関のドアのチャイムを押した。
……しかし、ドアの向こうからは何の応答も気配もない。
「…………?!」
真琴は買い物にでも行っているのかと、玄関口から下の駐車場を見てみる。……すると、真琴の車はそこにあった。
古庄の胸が、突然激しく鼓動を打ち始める。
もしかして、真琴に何かあったのではないかと…!
あたふたと鍵を取り出し、玄関のドアを開けて、暗い室内へと入る。
「…真琴?いるのか……?」
玄関の照明を点け、居間の照明も点けて辺りを見回しても、真琴の姿はそこにはなかった。
訳が分からず、古庄はパニックになって、今更ながらに携帯電話を探し始めた。
自分の着ている服のポケットを探ってもあるはずなく、ベッド脇に置きっ放しになっていたそれを探し当てると、即座に真琴へと電話をかけた。
〈 おかけになった電話は、現在電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…〉
と聞こえて来て、古庄はもっとパニックになる。
まさか、真琴に愛想を尽かされて、逃げられたのだろうか…!
それとも、何か事件に巻き込まれて、失踪したのだろうか…!
絶望感が古庄を支配し始めたとき、居間のテーブルの上に置かれた小さな紙切れに気がついた。
〈 和彦さんの実家に、ご挨拶に行って来ます。 真琴 〉
それを読んだ古庄は、思いもよらなかった真琴の行動に目を剥いたが、すぐにその驚きを呑み込んで、携帯を持つ手の指を素早く動かし、実家へとダイヤルする。