恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
「ふーん。そんなに怒るほど、真琴ちゃんのこと、大事なんだな」
「…あっ、当たり前だ!!俺の嫁さんなんだから、当然だろ!」
うろたえたように声を荒げる古庄を、母親はうっとおしそうに一掃した。
「ああ、もう。うるさいね!和彦はいちいち細かいことを言いすぎるのよ」
そんな言い方をされて、古庄はますます逆上する。
「何言ってんだ!俺は普通だ!!そっちが、気にしなさすぎるんだろ!?」
古庄自身、到底“普通”とは言い難い人間だが、古庄家の中に入れば、ごく普通の良識ある人間みたいに思えてくる。
「よし!うるさい和彦を、少し黙らせてやろ!…真琴ちゃん。いいもの見せてあげようね」
と言いながら、母親がその場を立つと、古庄は不穏な目つきで、その行動を監視する。
そして、戻ってきた母親の手にあるものを見て、古庄は黙らせられるどころか、焦って声を張り上げた。
「…そ、それを、真琴に見せるのは、やめろ〜!!!」
古庄の叫びは誰にも聞き入れられず、真琴を真ん中に、女三人はその可愛らしい装丁のピンクの冊子を開いてみる。
「これね。和彦が小さい頃の写真」
「わっ♡先ほど、お義姉たんにも、見せてもらいまちた」
「あれは、小学生からの写真だったでしょ?これは、もっと小さい頃の写真だけ集めてるのよ」
「やめろ!!真琴!!見るんじゃない!!!」
母親と真琴のやり取りを聞いて、古庄はまるで断末魔のような声を上げ、そのピンクのアルバムを取り上げようとする。