恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
するとすかさず、晶の速攻パンチがお見舞いされ、あえなく古庄は撃退されてしまう。
「小たい頃の、可愛い和彦たんを見たいんれす。どうしてダメなんれすか?」
酔っぱらって潤んだ瞳の真琴からそんな風に言われると、その可愛さのあまり何も言えなくなった。
「そう!晶も一緒に写ってる写真も多いけど、本当に『可愛い』のよ」
ニッコリと笑って母親に応える、嬉しそうな真琴を見て、古庄は仁王立ちしたまま事の次第を見守るしかない。
「………?これ、和彦たんは、どこに写ってるんれすか…?」
先ほどのラグビーの写真と同様、真琴はその中に古庄の姿を探せなかった。
古庄の姿どころか、その写真の中に男の子の姿はない。
髪を長くし頭にリボンを付けた可愛らしい女の子が二人、フリルのたくさん付いた服を着て並んでポーズをとってたり、遊んでたり……。
その女の子たちはとてもよく似ていて、まだほんの子どもだというのに、どちらもハッと目が覚めるように可愛らしかった。
「その写真、全部に写ってるよ。大きい方は私で小さい方は和彦だ」
笑いを含ませて面白そうに晶が答えると、真琴は目を丸くして、目の前に立つ古庄とアルバムと両隣の母親と晶へと、順に視線を投げかけた。
「……和彦さん、小さい頃は女の子だったんですか?」
驚きのあまり、呂律が元に戻っている。
そして、母親も晶も、古庄までも、冗談など微塵も感じられない真琴の真面目な言葉に、目を点にした。