恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
イジワルな姉
フニャフニャと力が抜けて倒れる真琴を、隣にいた晶が支えた。
その様を見て、古庄の怒りが頂点に達する。
「何やってんだよ!?真琴は、俺がやっと見つけた大事な嫁さんなんだぞ!!オモチャにするなよ!!」
古庄が真琴を実家に連れて行きたくなかった理由は、これだった。
自分が虐げられることも嫌だったが、それ以上に、真琴がこの変人たちの中で翻弄されるのは、火を見るよりも明らかだったからだ。
自分が一目で恋に落ちた真琴を、自分の家族たちが気に入らないはずがない。
普通に気に入るのならば問題はないのだが、自分の家族はきっと真琴を異常なほどに可愛がるだろうと危惧していた。
それはまるで、“新しいオモチャ”が手に入ったかのように…。
「別に…、オモチャにしてたわけじゃ…」
真琴を気絶させてしまった父親も、梅酒を飲ませすぎた母親も、ばつが悪そうに言葉を潰えさせ、黙ってしまう。
「…まあ、可愛い家族が増えたことが嬉しすぎて、私たちの気持ちも先走りすぎたかもな…。それより、真琴ちゃん寝かせてあげないと…」
晶がそう口を開くと、古庄は傍まで来て、その腕で真琴を抱き上げた。
「…どこに寝かせるんだよ?」
不機嫌な口調のまま古庄が尋ねると、
「こっちだ…」
と、晶が先ほど真琴が寝ていた部屋へ案内する。
部屋の隅に片されていた布団を広げると、古庄はその上に真琴の体を横たえさせた。