恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②




「…え?」


「あのご両親のDNAを受け継いでいるんですから、私が今見ている一面以外にも、あなたはもっと奥深くて面白い人なんだろうな…って」


その両親がいてくれたからこそ、自分の愛しい人は今ここに存在している…。
そんな思いを込めて、真琴は古庄に語りかけた。



古庄の方こそ、今まさに真琴の新たな一面を見た気がした。

その一見頼りなげな外見からは想像もできない、何事もしなやかに受け止められる、真琴の懐の深さを…。


決して否定せず、その気持ちに寄り添い、前を向かせて後ろから押してくれる真琴は、自分にとってかけがえのない人なんだと思った。



「ああ、真琴…。君は、最高の奥さんだよ…」



気付いたら古庄は、真琴を自分の腕の中に閉じ込めて、きつく抱きしめていた。



こんな風に苦しいくらいに抱きしめてもらうのが、真琴はこの上なく大好きだった。
心も体も、全てを包み込まれて、この世に二人だけしかいないように感じられる。


目を閉じ、古庄の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、再び瞳を開いた時――。

古庄の肩越しに見えたものに、真琴は息を呑んだ。



大空を覆い尽くさんばかりの、夥しい数の星々。



細かい星の数々は、一つ一つが判別がつかないほどで、それらは集まってけぶって見える。



「……すごい星……」



満天の星々を見上げながら、真琴はそうつぶやいたきり言葉をなくした。





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