恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②



古庄がバインダで刈り取った稲の束を集めてきては、稲木に掛けていく単純作業を繰り返しながら、真琴は本当に楽しそうだ。


そんな真琴の様子を見て、古庄も少し作業の手を休め、嬉しそうに微笑んで息を抜いた。



「こんな作業でも、一人でやるとけっこう大変なんだ。今日は手伝ってくれて助かったよ」


晶がそう言って真琴をねぎらうと、真琴は恥ずかしそうに肩をすくめた。


「私はいつも、和彦さんと一緒に何かできるだけで、とても楽しいんです…。それが、お義姉さんのお役にたてるのでしたら、もっと嬉しいです」


真琴の素直で可愛らしい物言いに、古庄は顔を赤くし、さすがの晶もいつもの毒気を抜かれてしまう。


「和彦は子どもの頃からやってることだけど、真琴ちゃんは慣れないことだったから、疲れただろう?明日の仕事に差障らなければいいけど…」


そんな晶の心配にも、真琴はニッコリと笑って応えた。



「確かに、明日は筋肉痛になるかもしれませんけど、この苦労が美味しいお米になって食べられると思えば、これくらいどうってことありません!自然農で作ったお米、どのくらい美味しいのか、本当に楽しみです!!」



「……あ?……えっ?」



真琴のこの算段には、さすがの晶も目を丸くして、返す言葉に困ってしまう。


そんな風に調子を狂わされている晶の様子を見て、古庄は思わず吹き出した。


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