恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
「それじゃ、こうしよう。週末だけはどちらかの家で一緒に過ごす。金曜日の夜から日曜日の夕方までだ。それで、月曜日の朝は別々の家から出勤する。どうかな?」
提案されて、真琴の気色が変わった。
少し考え込んで、納得したように頷いた。
「分かりました。週末婚ですね」
そう言って、ニッコリと笑う。
真琴が笑顔で了承してくれたのと「週末婚」と言う響きに、古庄の顔は思わずにやけてしまう。
体がずいぶん温まってきた真琴が、頬をバラ色に染めて、額の汗を手の甲で拭った。
その仕草に、古庄の胸がドキリと反応する。
「…月明かりの中の君も綺麗だったけど、明るいところで見る君も……色っぽいなぁ」
「………は?」
何でも素直に表現する古庄の言葉を聞いて、真琴は古庄の顔を見つめながら、みるみる間に頬をバラからゆでダコへと変化させた。
「からかわないでください」
「からかってないよ。本当のことだ」
真顔での古庄の受け答えに、真琴はどうしていいのか分からなくなる。
「そういえば昨日から気になってたんだけど、真琴は寝巻きの下は、なんにも着ないで寝るのか?」
「……は?」
「着てなかっただろ?昨日」
「…………!!!」
真琴は真っ赤な顔を押さえて、居ても立ってもいられなくなった。
「先に出ます!」
そう言うとお湯から立ち上がり、逃げるように離れの中へと入って行ってしまった。
真琴が体を拭き、きちんと衣服を身に着けたところで、離れの呼び鈴が鳴らされる。
「朝食の準備に参りました」
旅館の仲居が2名ほど、玄関口に立っていた。
「どうぞ、お願いします」
そう言いながら、真琴は仲居を迎え入れる。
仲居たちは手慣れた感じで、1組はほぼ使われていない2組の布団を片付け、座卓の上に朝食を並べ始める。