恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
古庄は全力で疾走して、前の走者、もう一人の女性教師に追いつきそうになるまで迫った。
それから生徒たちのレースは、デットヒート。
古庄のクラスはずいぶん挽回して、最終的に8組中2着という結果で終わった。
真琴のクラスは、真琴の転倒が響いて、最後までどのクラスも抜かすことはできなかった。
「ごめんなさいっ…!」
真琴は、自分のクラスの生徒と、古庄のクラスの生徒の前で頭を下げた。
自分さえ転ばなければ、古庄のクラスはダントツで1着だっただろうし、自分のクラスだってビリではなかったかもしれない…。
自分の失敗で、こんな結果になってしまったのが、真琴は本当に申し訳なかった。
「まあ、気にすることないよ。先生」
「みんな頑張ったんだから、それでいいじゃないの」
女子も男子も、そう言って慰めてくれた。
本当にいい子たちだから、真琴は心が癒されて、そう言う意味で泣きたくなってくる。
「文化祭じゃ、ずいぶん賀川先生のお世話になったし」
「だいたい先生がコケたのと、古庄ちゃんが戻った意志は関係ないよ。古庄ちゃんは、他の先生みたいにそのまま走ることもできたんだから」
「賀川先生を助けに行った古庄先生、見直したわ~…。ますますステキ…♡」
古庄のクラスの生徒たちも、別にこだわった風はあまりなく、真琴はホッと胸をなで下ろした。
「……大丈夫か?」
古庄が再び、心配そうに声をかけてくる。
その視線の先は、擦りむいて血が出ている真琴の膝小僧だった。
「はい…。救護テントで絆創膏もらってきます」
「先に、水道水できれいに洗っておいた方がいいよ!」
古庄は、更に気遣う言葉を真琴の背中に投げかけてくれたが、……真琴は再び、古庄の目をなかなか直視できなくなった。