恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②



気分を仕切り直すにはコンビニはあまりにも近すぎて、買い物を済ませた古庄は、ほどなく賀川家へと戻ってきた。


ダイニングでは片づけがほぼ終わっており、正志もよくしつけられているのであろう、テーブルを丁寧に拭きあげている。

台所の方で洗い物をしていた真琴が、古庄に気が付いて駆け寄ってきた。


「お風呂の脱衣所に、タオルとお父さんのパジャマを用意してるから使ってください」


そう言いながら、浴室に案内してくれる。そして、古庄を気遣って笑顔を作って向けてくれた。

その笑顔のいじらしさに、古庄は思わず真琴を抱きしめたくなるが、場所と状況を考えて、グッとその衝動を思い止まった。


「ありがとう」


真琴をじっと見つめた後、古庄もそう言って微笑み返した。

その顔を見て少しホッとした真琴は、脱衣所の戸を閉め、リビングへと戻った。












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