恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
スクリューパス
いつも通り、朝早くに目を覚ました古庄は、腕の中にいる真琴を起こさないようにそっと体を離し、布団を抜け出した。
昨夜、あんなにも眠れなかったのに、触れ合った後はいきなり強烈な眠気に襲われた。
「意識のあるうちに服を着なきゃ」との真琴の言葉に従って、辛うじてパジャマを着てはいるが、半分眠っていたのだろう…ボタンが掛け違えられている。
「もう少し一緒にいたら、自分の部屋へ戻る」と言っていた真琴も、結局ここで朝を迎えてしまったらしい。
古庄は真琴の安らかな寝顔を確認して、息を抜いて微笑む。
それから、“今日も頑張ろう”と奮起して、着替えはじめた。
まだ静かな家の中を密やかに歩いて、秋の朝の爽やかな冷気の中に出てみる。
少し散歩でもしてみようと門を出かかったところで、門の外から入ってくる正志とバッタリと出会った。
Tシャツと短パン姿で、ジョギングをして帰ってきたところみたいだ。
「おはよう」
古庄はとっさに声をかけてみたが、正志はじろりと視線をよこしただけで何も答えなかった。
相変わらずの態度に「やれやれ」と肩をすくめてから、古庄は公園の方へと足を向けた。
公園の緑の木々の合間に、1人2人体操をしている人が見える。
古庄も触発されて、公園の隅の方に設置されている背の高い鉄棒にぶら下がって、懸垂をしてみた。