天使が舞い降りる。
「るいお姉ちゃん……また、奏と遊んでくれる?」
クマのぬいぐるみをギュッと握り締めながら……奏ちゃんが不安そうに聞いてくる。
「うん、また奏ちゃんに会いにくるよ」
安心させたくてそう笑いかけると、奏ちゃんも嬉しそうに笑った。
可愛いな……サイの妹は。
ひとりっ子だから、私もこんな妹が欲しかったなと頭の隅で考えていた。
「ねえ……るいお姉ちゃん」
「なあに?」
いきなり、奏ちゃんの声色が……哀しげなものへと変わる。
「るいお姉ちゃんは……サイ兄ちゃんがどこに行っちゃったのか、わかる?」
「え……」
一瞬、奏ちゃんからもらった大切な四葉のクローバーを落としかけた。
「奏ちゃんは……サイ兄ちゃんがどこに行ったのかわからないの?」
言葉が震えないように、なるべく平然を装いながら口を開く。私の問いかけに隣の奏ちゃんは目線を下へと下げた。
「お母さんはね、サイ兄ちゃんは今ちょっと、遠いところに出かけてるって言ってたの」
遠い……ところ……
そっか……
奏ちゃんは……まだ本当のことを、知らないでいるんだ。