天使が舞い降りる。
「ねえ、ママ!ちょっとでいいから、奏ちゃんと公園で遊んでもいい?」
「いいわよ。でも、暗くなるからちょっとだけね」
母親はにっこりと笑った。奏ちゃんの顔に笑顔が広がる。
「やったー!あのね、奏ちゃん新しいお姉さんの友達ができたの!3人で一緒に遊ぼう!」
「あらあら奏ちゃん、そのお姉ちゃんならさっき……」
奏ちゃんが振り返った先には、もう……
「反対側の出口から、出て行っちゃったわよ」
「え?」
私の姿はなかった……。
「泣き虫涙、いつまで泣いてんの?」
公園から出て続く、真っ直ぐの道を……
おぼつかない足で、サイに手を引かれながら歩いて行く。
「だって……ひっく……だってええ……!」
涙が止まらない。
『一緒に、サイお兄ちゃんが帰ってくるの、待ってよう?』
そう言ったときの、健気で嬉しそうに笑った奏ちゃんの顔を……私は一生忘れない。