天使が舞い降りる。



「は?なんで?サイのお母さん、仕事夜なんでしょ?じゃあ早く行かなきゃ…」


「いいんだよ、涙」


なにが……いいの……?


「オレはもともと、ここへは、奏に会うために来たんだ」


「え……?」


サイの言っている言葉の意味が……さっぱりわからないんですけど。


「奏ちゃんだけ…?なんで?なんで奏ちゃんだけなの?」


なんで、お母さんには会おうとしないの?家族なんでしょ?


「いいんだって、涙。


あの人は……あの母親は、オレと奏を全然愛してなかったから」


「は……?」






平然とそう言って笑うサイの言葉に……私は耳を疑った。


「あはは……なに、言って……」


愛していなかった?一体、サイは……何を言っているんだろう。


「オレと奏は、母親と父親がちゃんと避妊しなくて、願っていないのに生まれてきた子どもだったんだ。簡単に言えば、オレの両親はデキ婚なんだよ」


デキ婚……?


離婚という言葉と一緒で、これも私には聞きなれない言葉だった。


「願ってもないなんて……そんなこと、だれが言ったの?」


声が荒くなりそうになるのを寸でのところで何とか抑える。


「離婚する直前……偶然酒飲みながらそう話してる親たちの会話を聞いたんだ」


そん、な……






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