天使が舞い降りる。
ガバッと勢いよく頭を下げる。
「彩人の……お友達?」
サイのお母さんの、驚いたような声が聞こえる。
「もしかして、お線香をあげに来てくれたのかしら?」
「は、はい!そうです!あの……迷惑、でしょうか?」
おそるおそる目線を上げる。すると、サイのお母さんは……
「いいえ、そんなことないわ。ありがとう、彩人のためにわざわざこんなところに来てくれて。上がってちょうだい」
言いながら、私を部屋の中へと促してくれる。
なんか、想像していた人と違うというか……驚いた。
願っていたわけでも、結婚していたわけでもないのに男の人と関係を持ち、避妊をせずに子どもを作った人…
それをサイ本人から聞いたときは、もっと怖いような、軽そうな女の人を勝手に想像していたけど…
だけど実際は、普通に綺麗で優しそうな人だった。
いや、実は猫を被っているとか?でもそれなら、隣のサイが黙っているはずはないし…
部屋の中は狭かったけど、整理整頓はきちんとされていて綺麗だった。
それになんかいい匂いがする……。
入ってすぐ横のところには、ドアが開きっぱなしのお風呂場と洗面台。部屋は更に奥まで続く形になっていて、歩いて行けば広めの部屋に出た。
テレビとテーブル、本棚にクローゼットと最小限のものしか置かれていない部屋…。