天使が舞い降りる。



サイの言っていたことは、間違っていなかった…。


「偶然、別れた夫とお酒飲んで話しているところを聞かれちゃってね……ふふっ」


まるで思い出話でも語るように……クスクスと笑っている目の前の人。


なんで……


「なんで……笑ってられるんですか……?」


「え?」


「なんで、願ってもないのに子ども産んで、そうやって笑っていられるんですか……!?」


なんで、どうして、自分の子どもが死んだのに、そうやって笑っていられるの?所詮、やっぱり、この人にとってサイも奏ちゃんも……


「涙ちゃん……?」


やっぱり、来なければよかった。


こんなところにサイを連れてきてしまった、自分自身を殺してやりたい。


「あなたのしてきたことに、サイが、どれだけ傷ついたか……」


そこでハッとする。部屋の隅で、あぐらをかいて壁によりかかっていたサイが、顔を伏せていた。


帰ろう。サイが……また傷つく。


ここへは、サイに笑ってほしくて来たのに……。


「私、もう失礼します!」


勢いよくその場から立ち上がったときだった。









「そうね。涙ちゃんの言う通り……私はあの子を傷つけた。


軽率な行動で好きでもなかった男と酒の勢いでヤッて……子どもなんて、これっぽっちも欲しいなんて思ったことはなかった。


不純で、最低で……そして、」












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