天使が舞い降りる。
ガタン、ゴトン……
帰りの最終電車で、私たちは日中に来たときと同様、窓から外を無言で眺めていた。
「疲れたね…」
「うん…」
日はもうすっかり沈み、あたりは夜の闇に満ちている。
「幽霊も……泣いたりするんだね」
意地悪く笑ってやると、サイが泣き腫らした目元を右手で隠す。
「涙だって今日泣いたくせに!」
「女の子なんだからいいじゃん」
私にからかわれるサイなんて初めてじゃん。
恥ずかしがっちゃって、可愛いね~、眼福~
「涙」
未だ母親の本音を初めて聞き、ボロ泣きしたことを恥ずかしがっていると思いきや……
「ん?」
突然、サイが私の名前を呼ぶ。
「ありがとな…」
「へ?なにが?」
「奏と遊んでくれて……それと……」
それと?