天使が舞い降りる。

確かに、先生の言う通りだ。


「なんか、悩みでもあるんじゃないかと思ってな……お前なら、知ってると思ったんだが」


先生の推測は、決して間違っていない。


「もしかして……いじめか？」


「それはないです」


私はきっぱりと言った。


「だよなあ……常盤は人気者だし」


ポリポリと、困ったように頭をかく先生。


奈々子の欠席の理由は……たぶんサイのことだ。




「私、奈々子にメールしてみますね」


「ああ、頼む！」


そう言って先生とは別れた。




やっぱり……このままでいいはずなんてない。


私はスカートのポケットに忍び込ませていた携帯を取り出すと、奈々子へと電話をかけた。


先生に、校内で携帯を使っているところを見つかると没収されてしまうから……電話を耳に当てながら、人気のない渡り廊下へと移動する。




だけど……奈々子は、電話に出なかった。