天使が舞い降りる。



私は小さく息を吸った…。








「夕方、どうしても学校の屋上に来てほしい。サイに、会わせてげるから……って」








『え?学校の屋上に?』


「どうしても、来てほしいです」


『ああ、でも……奈々子は今……』


「構いません。伝えるだけ、伝えてもらえませんか?」


『……わかったわ』




私は電話を切った。


夕方……絶対に奈々子は、屋上に来る。


「通話終了」と書かれた、携帯を右手にギュッと握り締めて……私は走り出した。





かばんも持たずに玄関へ向かい、学校を出る。


また……午後の授業をさぼることになったこと、お母さんに怒られるかな?


だけど、それでもいいと思った。


サイが、笑ってくれるなら……






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