天使が舞い降りる。



「あ、私の家ここ」


公園を出て、ゆっくりと歩いても5分で家に着いた。


さっきの公園と、私の家は近所みたいなもんだから仕方ない。


「ここが涙の家?すごいキレイだね」


関心したようにサイが言う。


キレイって別に、普通の民家と変わりないと思うんだけど…。


「サイの家だって、こんなもんだったでしょ?」


「いや…」


私の言葉に首をフルフル横に揺らすサイ。


「オレの家、すごいボロいアパートだったから……妹がいて、父さんと去年離婚した母親と3人暮らし」


「え?」


離婚…。私にしてみれば、聞きなれない言葉。


複雑そうな表情を浮かべる私の前髪を、


―クシャ


サイが突然なでる。


「涙が、そんな顔すんなよ」


複雑な自分の家庭に、お前は関係ない……サイの笑顔は、そう言っている気がして、なんだか寂しかった。





「あ、あの、さ…」


ドアノブに手をかけ、家の中に入ろうとする直前…


「ん?」


私は視線を外しながらサイを振り返った。


「今から家入るけど…私が何されようが言われようが、気にしなくていいから」


「え…?」


私の言葉に案の定、サイが不思議そうに首を傾げる。


特に解説することはない。


実際見てもらったほうが、すぐにわかってもらえると思ったから。








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