天使が舞い降りる。
数分後…
私たちはふたり並んで、ベッドへと腰掛けていた。
「?」
不意にベッドから立ち上がるサイ。
そして私の目の前へと座り込み、自分の頬を指さした。
「腫れ引いた?まだ痛い?」
今私の顔には、水で濡れたタオルが当てられている。
一応、サイなりに心配してくれているみたいで…
嬉しくなった私はにっこりと笑って見せた。
さっきまであんだけ泣いておいて、信憑性なんてないかもしれないけど…
少しでもサイを安心させたくて…
「大丈夫…」
『タオル持ってくる。どこにあんの?』
『え、あ、えっと……洗面所の台の、上から3番目の引き出しに……』
『取ってくる』
数分前、そう言って部屋から出て行ったサイの後を、私も追った。
母はちょうどリビングで電話をしていて、鉢合わせにならなくて助かった。
幽霊なのに、物を持てるのだろうか…?
そう思って洗面所へと向かったが、サイはすでに、水玉のタオルを難なく片手に持っていた。