天使が舞い降りる。
「親に敷かれたレールの道と、無謀だとわかっていても自分の選んだ好きな道。選んで後悔するのはどっちだと思う?」
「……」
「オレは、絶対前者だと思うよ?」
サイが、ゆっくりと立ち上がる。
なんで……なんで、そんなこと言えんの……?
「こ、怖くないの?サイは…
もし後者を選んだとして、失敗したらって…」
「そんなの…」
ポンと、頭に何かが触れる。
「一度きりの人生なんだよ?涙の人生は涙のものでしかない。どうせ他人の決めた道を選んだって、大体の人は後悔する。それよりだったら、一か八かの選択でも、自分の可能性を信じてみたほうがいいと思う」
「それでもし、失敗したら…?」
「大丈夫。フリーターでも生活してる人はたくさんいるから」
サイの言っていることは、どす黒くくすんでいる私の心に光を与えてくれるようだった。だけど…
「だけど、そんなの……親が許してくれるわけない」
「それは涙が自分の考えを言わないからでしょ?」
「違う!!」
その言葉にカチンときた。大きな声が狭い部屋の中で反響する。サイの手が頭から離れる。
「何が違うの?」
「私はちゃんと伝えてる!!予備校の件だって、ちゃんと行きたくないって…!!だけどあの母親たちが、それだけで許してくれるわけないんだってば!!」