天使が舞い降りる。
サイの言ったことは間違ってない。
間違っていないからこそ……私はさっきみたいなことを口走ってしまった。
自分の黒く汚れた心の部分、弱い心の部分を、さらけ出された気がして…
だって、私は今まで…
自分は悲劇のヒロインだっと思い込んでいたから…
バカだよね…?
自分でできることもやらずに、勝手に諦めて、殻に閉じこもって……何もせず、全てを誰かのせいにしてきた。
私自身は本気で、誰かにぶつかったことがあったかな…?
何が「悲劇のヒロイン」だよ…
笑わせてくれる。
サイの言葉がそれに気づかせてくれた。自分の状況を嘆く前に…自分で行動に移してみろって
その通りだと思ったから、図星だと思ったから、ムカついた。
だから…
だから、サイは…
サイは悪くない。だから「ごめん」
たった一言なのに、言えなかった…。
いつのまにか眠りについていた、次の日の朝…
「サイ…?」
部屋のどこにも、サイの姿はなかった。
なんとなく……予想はしてた。
あんなことがあった次の日の今日、いつも通り私たちが会話なんてできるはずない。
心の隅のどこかで、わかっていたはずのことなのに…