天使が舞い降りる。
「危険なので、今日一日は絶対に外には出ないように!帰りはなるべく家の人に迎えに来てもらってくれ。家の人が無理で、家が遠いヤツは先生に言ってほしい。車で送っていくから」
「じゃあ、先生!おれおれ、おれ乗っけてってー」
「馬鹿者。お前は歩いて5分だろう、走って帰れ」
「ひでー!」
どっと賑やかな笑いが起きる。
「やったね、涙!ラッキー」
「そうだね」
咲乃の言葉に笑いながら頷く。だけど……正直早く帰れるとか、どうでもよかった。
チラッと窓の外を見る。雨と風がすごかった。
サイ……
こんなに荒れた天候の中、一体サイはどうしているのだろう…
クラスメートが嬉しそうにする中で、私だけが、哀しげに視線を落とした。
雨は体をすり抜けるだろうし、寒さは感じないはず。それなのに…
サイのことが、心配で心配でたまらない。
「じゃあ、ホームルームはここまで!」
それから4時間後……
午前の授業はあっという間に終わった。
「よっしゃあ、帰ろうぜー!」
「走って帰るか!」
そんなクラスの男子の声を聞きながら、私は席を立つ。