天使が舞い降りる。
「ねえ、ちょっと廊下で話そうよ」
ここじゃ人目がある。ふたりきりで話がしたかった。
「いいよ。私も、涙に聞いてほしいことがたくさんあるんだ…」
言いながら席から立ち上がる。私たちは廊下に出た。
「もう、かなり噂になっているから、涙も知ってると思うけど……前に、実は付き合っている人がいるって話したでしょ?」
「うん」
「交通事故で死んだ西高の生徒っていうのは……その付き合ってた彼なんだ」
「うん……」
「信じてくれる?」
「当たり前じゃん」
奈々子の言葉を、信じないわけがない。それに……
私は、その奈々子の恋人に……出会っているから。
あのね、奈々子…
サイね、すごく楽しそうに奈々子の話してたんだよ…
呆れるくらい十分に伝わった。
サイも、奈々子のことが大好きだったんだって…
ふたりはきっと、永遠に結ばれる運命だったのだろう。それなのに…