天使が舞い降りる。
残酷な、別の運命がふたりを引き離した…。
「すっごく……好きだったんだよ……」
「うん」
「かっこよくってね……だけど、それだけじゃなくて、優しくて……」
「うん」
「たまに変なこという人だけど……そんなところも、全部好きで……」
奈々子の声が震えていく。
散々泣いたはずなのに、彼女の目からはまた大粒の涙が溢れていて……
「涙には、絶対に会わせなきゃって、思ってたの。『この人が私の彼氏です』って涙に紹介して、彼にも、『この人が私の親友です』って、ちゃんと言いたかった…」
「奈々子…」
「だけど……だけど、もう何もかもが遅い……っ!」
せき止めていた私のダムも…
とうとう決壊した…。
「ふたりでやりたいこといっぱいあった…!これから夏祭りにだって行きたかった、花火だって見たかった…!伝えたいことだって…まだまだいっぱいある…!!いっぱいあるのにー!!」