天使が舞い降りる。
私の言葉にサイが笑う。
「心配すんなって。人なんて歩いてないから」
まあ……そうなんだけど。
私はサイと手をつないで、家までの道のりを歩いて行った。
「よかった……」
こうしてまた、サイと歩くことができて…
「ん?なんか言った?」
だけど、同時に胸騒ぎもする。
サイは死んだ人間。いずれは……成仏というものをするのではないだろうか?
となると、一緒にいられる時間は限られているということになる。
「……」
嬉しい感情と不安な感情。このふたつが、私の心の中でぐるぐると渦を巻いていた…。
家に着くなり、リビングに顔を出した私は、テーブルの上に置手紙があることに気づいた。
『涙へ。
お母さん、今日は仕事で遅くなります。お父さんもいつも通り遅いみたいだから、夜ご飯は作ってあるのを温めて食べてね』
お母さんの置手紙…