天使が舞い降りる。
台所へ目をやると、大好きな肉じゃがが大きな鍋の中に用意されている。
置手紙のすぐ横には、ラップにくるまれた卵サラダ。
よかった。お母さんがいなくて。
こんな雨の中、傘も差さずにずぶ濡れでいるところを見られたら……きっとうるさいから。
ホッと息をついたときだった。
「こら!」
「わっ!」
背後からの声と同時に、頭に何かを被せられる。
「夜ご飯のメニューチェックしてないで、早く風呂入る準備しろって!」
サイだった。ちなみ頭に被せられたのはタオルで、手でガシガシと濡れた髪を拭かれる。
「い、痛い痛い!」
「早く頭拭かないからだろ!」
サイにお咎めをもらった私は、言われた通り着替えを用意しお風呂の準備を始めた。
「ふう……」
制服を乾燥機に入れ、ドライヤーで髪を乾かした私は自分の部屋へと向かった。
「サイー?」
ドアを開けると、まるで自分の部屋のようにサイがベッドの上で横になっている。しかも本棚から取り出したのだろう、少女漫画を読みながら……。
「……」
私のベッドと漫画なんですけど……