天使が舞い降りる。
まあ、いいけどさー。
「あ、涙!」
話し相手がいなくてつまらなかったのか、戻ってきた私にサイが嬉しそうな表情を浮かべる。同時に上半身を起こした。
愛らしいその行動に、不意打ちにもドキッとしてしまう。
「おかえり!」
「ただいま…」
パタンと少女漫画を閉じるサイ。
「な、なに男のくせに少女漫画読んでんの……」
「だって暇だったんだもん」
私は机のイスに腰掛けた。
「あのさ、サイ……」
親友の好きな人に……ドキッとしている場合でも、こんなことしている場合でもないんだよね……
「ん?」
「あの、ね、私、思ったんだけど……」
お風呂に入っているとき、ずっと考えていたんだ。
どうして死んだはずのサイの魂が、まだこの世にいるのかって……