ルージュのキスは恋の始まり
「でも、それじゃあ売れませんよ」

「お前の弟がCMのモデルやるのに?」

 龍神社長が口角を上げる。

「・・・・」

 やっぱりバレちゃったの!

 タイミングが悪すぎた。

「弟はそんなに安っぽいか?違うだろ?」

「そうですけど・・・・」

「この口紅は売れる。俺が保証する」 

 目を輝かせながら龍神社長は自信満々に言う。

 絶対の自信。

「・・・売れなかったらどうするんですか?」

 この人はどうしてここまで自分に自信が持てるのだろう。

 ある意味羨ましい。

 私の否定的な言葉に、俺様社長がちょっとキレる。

「売れるに決まってる。じゃあ、賭けをしよう?売れなかったら全社員の前で土下座して謝る。売れたら・・・お前をもらうからな、橘美優。覚悟しておけよ」
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