ルージュのキスは恋の始まり
 ああ、もうわからない。

 私の頭はすでにオーバーヒートしている。

「美優の作ったルージュのCMだよ?その唇で男も女も魅了してみな」

 そう言うと、大河は私の手を引いて控え室を出る。

 監督やその他のスタッフもみんな待っていたようで、みんなの視線が一斉に大河と私に向けられる。

 宣伝部の人達も隅でじっと私たちを見ている。

 おまけに・・・玲王まで。

 ああ、もう最悪。

 宣伝部の人達は誤魔化せても、玲王には絶対バレるよ。

 そんな簡単に騙せる相手じゃない。

 私の顔は真っ青になる。

 出来るなら逃げ出したい。

 でも、私を熟知している大河は私の腕をつかんで離さない。

「言ったろ?ちゃんとやらないと本当にキスするよ。もう逃げちゃ駄目だよ、姉さん」
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