ルージュのキスは恋の始まり
 抗う気力もなく、もうされるがまま。

 後ろでは大河が私の様子をじっと見ている。

 きっと私が逃げないか見張っているんだ。

 大河はあの時・・・玲王に何て耳打ちしたのだろう。

 玲王の気持ちを変えさせる何か。

 でも、ほとんど初対面に近いのに・・・・。

 あの俺様玲王にうんと言わせるなんて余程の事だ。

「美優、何考えてるの?」

「それはこっちの台詞。大河は何企んでるの?龍神社長に私が自分とこの社員だってバレるじゃないの!」

「それは心配いらない。もうとっくにバレてるから」

「・・・・」

「自分がキスした相手だよ。眼鏡外して化粧しただけでわからないわけないよ。わからない奴は余程の馬鹿だね」

「大河・・・・私、出来ないよ」

「賽は投げられた。もう逃げられない」
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