ルージュのキスは恋の始まり
 だが、高橋の意図がわからない。

 自分の大事な女と他の男とのキスシーンをお膳立てする男がどこにいる?

 それに、撮影のためとはいえ、あそこまで美優を追い込む必要があったのだろうか?

 美優は見てるのが辛くなるくらい絶望に打ちひしがれていた。

 俺が高橋を見据えると、奴は笑った。

「ふふ。血の繋がりがないって知ってるんだ?何もかもお見通しって訳?俺の事調べたんだろうけど」

「俺にはお前が理解出来ない。20過ぎたいい大人が今頃反抗期か?」

 俺が高橋を皮肉ると、奴は俺を鋭い眼光で睨み付けてきた。

「龍神さんに理解なんてされたくないよ。勝手に精神分析しないでくれる?」

「だったら子供みたいな真似するなよ」
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