ルージュのキスは恋の始まり
 特に、美優にだけは知られたくないに違いない。

「嫌いで結構。好かれる方が気持ち悪い」

「龍神さんらしいね。あなたは敵を増やしそうなタイプだけど、そうじゃないね。敵をも魅了して味方にする。そんな人だ」

「・・・・」

「約束を破って悪いけど、俺、控え室で美優にキスしたから」

 舌をペロッと出すその顔は、全然反省していない。

「お前は・・・・」

 高橋の思わぬ告白に怒りを通り越して呆れる。

「まあ、許してよ。きっとこれが最初で最後。俺としても予定外だったわけ。男ならわかるだろ?同じ女に惹かれてるなら。今までずっと自制してきたんだ、むしろ褒めてもらいたいくらいだね」

「誰が誉めるか。開き直るな、馬鹿」
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