ルージュのキスは恋の始まり
「美優にはまだ内緒にしてて。これ以上動揺させたくないから」

「行く前には必ずお前の口から伝えろよ。俺からは言わないからな」

「わかってる」

「拠点をロスに移すなら、俺の家を使うと良い。立地は良いし、部屋数もあるし、色々と便利だぞ」

「・・・あんまり優しくされると気持ちが悪いんだけど。ひょっとしてもう兄貴面してんの?まだ美優の恋人でもないのに?」

 俺がクスッと笑うと、玲王は憮然とした顔で言った。

「煩い。時間の問題だ」

「どうだか?」

「言ってろ。俺も着替えてくる。美優の事は心配するな」

 不敵の笑みを浮かべると、玲王は後ろ手を振って俺とは別の控え室に入って行く。 

「泣かしたらぶん殴る」

 玲王の背中に向かって呟くと、声が届いたのか一瞬彼は立ち止まった。
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