ルージュのキスは恋の始まり
「あ~あ、花束こんなにしちゃって勿体ない。これ、バラだからきっと1万はしますよ」

 俺が考え込んでいると、百合ちゃんが現れて床に散らばった花びらを拾い始める。

「ちょっと色々あってね。いいよ、百合ちゃん、そんなことしなくても」

「これも私のお仕事ですから」

 百合ちゃんが俺に向かってにっこり笑う。

 邪気のない笑顔。

 見てると自然と癒される。

「社長が早く戻って来いって電話で怒鳴ってましたよ。覚悟しといて下さいね」

「はは。まあ、減俸くらいは覚悟しとくよ」

 俺は苦笑する。

「でも、良いんですか?大事な美優さん龍神社長に託しちゃって」

「聞いてたんだ?」
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