ルージュのキスは恋の始まり
「えへへ・・・・」

 しっかり妄想してるな。

 笑って誤魔化す百合ちゃんの頭を拳でグリグリする。

「大河さん、ごめんなさい~。ギブです。もうその妄想はしません!」

「じゃあ、百合ちゃんの妄想から俺を消去してよ」

「え~、大河さんと誰かで毎晩妄想して寝るの、私の楽しみなんです。奪わないで下さい」

「俺と自分ていうのは妄想しないの?」

 俺の質問に百合ちゃんは滅相もないと首をブンブンと振る。

「私は庶民ですから!そんなのあり得ません。今夜泊まるのもホテルで良いじゃないですか?」

「百合ちゃんと?」

 俺が百合ちゃんをからかうと、さらりとかわされた。

「1人が嫌なら脇坂さん誘って下さいよ。脇坂さん腹芸が得意だし、きっと楽しい夜を過ごせると思いますよ」
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