ルージュのキスは恋の始まり
「いや、そんな楽しさ望んでないんだけど」

 俺の言葉をスルーして、百合ちゃんは唐突に言った。

「大河さん、屈んでください」

 百合ちゃんが手を上下に振る。

「え?何?」

 俺が百合ちゃんの頭位まで屈むと、彼女は手を伸ばして俺の頭を撫でた。

「今日は良く頑張りました」

「百合ちゃん?」

 百合ちゃんの意味不明な行動に思わず彼女の目を見る。

「これ、忘れ物」

 百合ちゃんは俺の目を見て微笑みながらネックレスを俺にかけた。

「・・・・」

 俺がゴミ箱に捨てたはずのクロスのネックレス。

「美優さんがくれた大事なものでしょう。なくしちゃ駄目です」

 メッ!っと可愛い顔で百合ちゃんが怒る。
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