ルージュのキスは恋の始まり
 このままちょっとだけ微睡んでいたい。

 誰にも邪魔されず。

 身体をというよりは、オーバーヒートした頭を休めたい。

 気持ち仰向けの状態で浴槽に頭を預け、目を閉じる。

 次に目を開けたら全部夢だったら良いのに。

 そう願いながら・・・・。

「お前寝てないだろうな?」

 扉の向こうから玲王の声がして、また現実に戻された。

 パッとすぐに目を開けて、浴槽で身体を隠し大声で否定する。

「ね 、寝てません!」

「もういい加減上がらないと逆上せるぞ。あと5分以内に上がらなかったら、この扉開けるからな」

 玲王がクスクス笑いながら声をかける。

 冗談だとは思うけど、やらないとは限らない。

「駄目!すぐに上がるから」
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