ルージュのキスは恋の始まり
「美味しそうじゃなくて美味しいんだよ」

 私の言葉に玲王が笑いながら突っ込む。

 でも、彼の言葉は本当で、食欲なんてなかったはずなのに私はあっという間にパスタを平らげた。

「疲れた時は食わないとな」

 玲王が私の頭をよしよしと撫でる。

 なんか今日は私犬扱いされてないだろうか。

「料理習ったの?」

 玲王は手際もいいし、かなり慣れていた。

 私が尋ねると、玲王は昔を思い出したのかクスッと笑った。

「一時期嵌まった時期があった。イタリアで変なオヤジのところで武者修業した。興味があればなんでもやる。メイクだってプロ並みに出来るぞ」

 玲王が私の目を見てニヤリとする。

「うちの社長になるからメイクも勉強したの?」

「自分で試してみないと何事もわからないだろ?やって損はない」
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