ルージュのキスは恋の始まり
 そう言って、玲王は自分の心臓を手のひらでトントンと叩く。

 調べたって3年前の事も知ってるって事なの?

 私が少し怯えた表情になると、玲王は私の頬に手を当てた。

「そんな顔するな。生きてれば何だって出来る可能性がある。自分からその可能性を捨てるな」

 真剣な表情で玲王の目が私に訴える。

「私・・・これからどうすればいいんだろう?」

 自分自身の事も。

 大河との事も。

 考えれば考えるほど頭の中が不協和音みたいにぐちゃぐちゃになって気が変になりそうだ。

「・・・・今日は何も考えずゆっくり休め。疲れた頭で考えてもいい答えなんて出ない」

 玲王が棚からブランデーのボトルを取り出すと、グラスに注いで私に手渡した。

「自分の人生は自分で決めろ。助けはするが、決めるのはあくまでもお前自身だ」
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