ルージュのキスは恋の始まり
15、忌まわしい記憶と痣 ー 玲王side
 風呂から上がると、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取ってがぶ飲みした。

「美優は寝たのか?」

 静かなのが気になってふと視線をダイニングの方へ向けるとぎょっとした。

 美優がダイニングテーブルに突っ伏してうとうととしている。

「おい、こんなとこで寝るな。風邪引くぞ」

 肩を軽く揺すって声をかける。

「う~ん、眠い。いいの、このまま」

 瞼を擦りながら、美優が甘えた声で呟く。

「寝るならベッドで寝ろ」

 俺が突き放した言い方をすると、美優は子供のように駄々をこねた。

「もう歩けない。抱っこ」

 ちょっとトロンとした目で美優が両手を伸ばしてくる。

 何なんだ、この甘えん坊・・・・。
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