ルージュのキスは恋の始まり
 止血してる間、玲王はずっと無言だった。

 ひょっとして怒ってる?

 この空気気まずい。

 あっ、そう言えば佐藤は?

 ふと横を見れば、歩さんが佐藤を倒したのか佐藤の頭をグリグリとピンヒールで踏みつけている。

 美人に踏みつけられてる図はなんか・・・すごい。

 歩さんは携帯を取り出してどこかに電話をかけた。

「あっ、お巡りさん?しつこいストーカー男捕まえたの。すぐに来てくれる?友達も怪我しちゃって。じゃあ、よろしく」

 歩さんがチュっと携帯にキスする。

「歩、俺は美優を病院に連れてくから、後頼む」

 玲王はブスッとした表情で私の手を押さえながら、歩さんに声をかける。

「はいはい」

 行ってと言うように歩さんが手を振る。

 玲王が私の手を引いて車に乗せようとすると、突然百合ちゃんが慌てふためいた様子で私の目の前に現れた。
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