ルージュのキスは恋の始まり
 そう言うと玲王は片岡さんがいるにも関わらず私を抱き寄せた。

 思わぬ玲王の告白に胸がきゅんとなる。

「もう大丈夫だ。もうお前を苦しめる奴はいない」

 玲王が私の腕を優しく撫でる。

 彼の言葉で私はやっと悪夢から解放された気がした。

 玲王の胸の中にいると安心する。

 ずっとこのままでいたい。

 そして、側にいて彼を守りたい。

 玲王が怪我しなくて良かった。

 彼が大怪我してたら私は・・こんなにホッとしていられない。

 自分の無事よりも玲王が無事である事の方が大事だなんて・・・・。

 この腕を離したくない。

 そう願う私は欲張りな女だろうか。

 私の中で何かが確実に変わり始めていた。
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