ルージュのキスは恋の始まり
『謙遜するなんて珍しいじゃないか。俺をCMに引っ張り出してきたんだから、これくらい何でもないだろ?』

「根に持つ男はモテないよ。男にもね」

『野郎にモテたかない。それより、現場を見てたお前のマネジャーがかなり取り乱してたからフォロー頼むぞ』

「お気遣い感謝するよ。これから慰めるとこ。美優の事頼んだから」

 携帯を切って、チラリと百合ちゃんを見る。

 彼女はまだ泣いていた。

 百合ちゃんが悪い訳じゃないのに。

 本当に人がいいというか・・・・。

「百合ちゃん、美優は大丈夫だから安心していいよ」

 たまたまタイミングが悪かっただけ。

 いや、あのストーカーが捕まったんだから、美優は手に怪我をしたけどこれで安心だ。

 美優は精神的にかなり楽になったと思う。

 3年間悪夢とずっと戦っていたのだから。
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