ルージュのキスは恋の始まり
 後はこのお嬢ちゃんどうしようか?

 こんな風に泣かれるとちょっと意地悪したくなる。

「百合ちゃん、いつまでも泣いてるとキスしちゃうけどいいの?」

 俺が悪戯っぽく笑うと、百合ちゃんが目を丸くした。

「え?」

 その顔は聞き間違いだろうかと言っている。

「だから、泣き止まないとキスしちゃうよ」

 俺が彼女の頬に顔を近づけると、彼女はピタリと泣き止んだ。

「・・・・」

 なんか俺のプライドが傷つく。

「残念。そんな露骨な反応されると傷つくな」

 俺は苦笑する。

「だって、今回のアンジュのCMのギャラ、4,000万なんですよ。ってことは、1回のキスの値段が4,000万。私になんてもったいなさ過ぎます」
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