ルージュのキスは恋の始まり
「・・・・」

 怪我した翌日、いつもの習慣で痛みを我慢して包丁握ってたら玲王に見つかり怒鳴られた。

 あの時は耳の鼓膜が破れるかと思った。

 でも、私は幸せかもしれない。

 こんなに私の事を心配してくれる人が近くにいるのだ。

 それに、玲王が連絡してくれたのか、大河から怪我をした翌日にピンクの薔薇の花束と、私が大好きな高田亭のイチゴのショートケーキが届いた。

 メールでお礼言ったけど、大河ちゃんと見てくれただろうか。

 あの日から私は少し変わった。

 玲王にもらったルージュで自分から口紅だけ塗るようになった。

 玲王もそれを見て満足そうに笑う。

 私もそんな彼を見るのが女として嬉しい。

 眼鏡は相変わらずかけたままだけど、あのCMの放送が終了するまではそのままの方がいいと玲王に言われた。
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